2019年11月27日
道を極めるための第一の方法(世阿弥)

世阿弥の『風姿花伝』から一部ご紹介いたします。
………………………………………………
どんな滑稽な役者であっても、もしその演技によいところを見つけたら、上手な人でもそれを真似るべきです。
これは道を極めるための、第一の方法でしょう。
世の中には、もしよいところを見つけても、自分より下手な人間であれば、その技術を取り入れてはいけないように考える常識があります。
ただ、そうした狭い心に縛られているのでは、どうあっても自分の欠点を知ることはできなくなります。
これは能において、
「極めることを不可能にする心理」
です。
また下手な役者も、もし上手な役者の悪いところに気づけば、「上手な人にも欠点があるのだな。だとすると、初心者の自分であれば、さぞや欠点は多いのだろうな」と考え、そのことに恐怖を抱き、他人に自分の芸のことを尋ね、芸に工夫を凝らすようになっていくでしょう。
稽古にもいよいよ励むようになり、能の技術はすぐに上達していきます。
これをやらず、
「上手い役者かもしれないが、オレはあんなふうにおかしな演技はしないぞ」と、
自分のことを棚に上げて慢心するばかり。
自分のよいところすら本当にわかっていない役者とは、だいたいこのようなものなのです。
自分のよいところを知らないと、悪いところも「よい」と思ってしまいます。
この状態だと、どんなに年数を経ても、能の腕は上がりません。
下手の人の心のうちは、こういうものでしょう。
~~~~~~~~~~~~
世阿弥の言葉、的を射た正論ですね。
誰からでも、何からでも、学べる人でありたいと思います。
Posted by
和太鼓集団鼓鐵
at
12:59
│Comments(0)