おもいを込めて
中国の思想家・孔子の話です。
孔子が若いとき、琴の名手に師事したとき
師匠から、これぞ自分の目にかなう弟子と称賛され、目をかけて育てられました。
琴を弾く音色はすばらしいものでした。
しかし、孔子は
「楽譜通り弾けるようにはなったが、この曲を作った人の気持ちになるまで練習させてほしい」
と頼みます。
十日後に弾かせるとまたも見事な音色なれど、
「真っ黒な雲の陰にかすかな光を感じただけ」
と言います。
さらに十日後に弾かせたときに、孔子は、
「先生、私はやっと曲を作った人の気持ちになって弾くことができました」
と言ったそうです。
これを聞いた師は座を降りて孔子に頭を下げ、
「今日からあなたが先生だ」と告げたそうです。
かつひとです。
こないだ僕の作った曲について
この曲にこめた想いは、こんな意味であってますか?
と聞かれ
ストレートな表現の曲でその通りですよ、と答えると
音符のここは何を表していますか?
腕の振りはどうしたらいいですか?
と次々質問され
まぁ、とりあえず思ったようにご自身で表現してみて下さいと言いました。
正直、作曲者だけれど、もう十何年も前の事細かなことは忘れているし
曲もたたいていくうちに成長したり変化したりしているので
産まれたときから独り立ちしていると言っていいかも
いま演奏しているのを感じて理解してもらうのが正確だと思います。
曲は言葉で伝えきれるものでもないしね。
と、愛想悪く思われたかもしれませんが
それが正直なところで、こっちがどうこう理屈を言ってもその曲を聞いた人がそのように受け取らなければ説明もしない方がマシな場合もあるしね。
常に考える
と鼓鐵メンバーに言ったりしてますが
場合により
考えるな、感じろ!
というのもあるから。