禍と福
禍や福のよる所、
福や禍の伏する所。
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【解説】
「禍や福のよる所、
福や禍の伏する所」
の二句は、独立してとくによく後世引かれます。
『列子』に塞翁の馬の寓話があります。
国境あたりに住んでいるおじいさんが、一頭の馬を失くした。
近所の人が悔やみをいうと、
「この禍が福にならんとはかぎらん」
と平然としていた。
しばらくすると、逃げたと思った馬、どうやらさかりがついていたらしい。
別の馬を一頭連れて帰ってきた。
この馬が名馬だった。みんなが祝いをいうと、
「いやこの福がいつまで続くかわからない」
といった。息子がその名馬にまたがって得意になって乗っていたら転げ落ちて腕を折った。
近所の人が悔やみをいうと、
「この禍が福にならんとはかぎらん」
という。またたく間に戦争が起こって、村中の若者が全部戦死して、その腕を折った息子だけが生き残った。
この寓話のいいたいことは、禍と福がお互いに寄りかかっているということです。
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何が禍で何が福かは背中合わせなところがありますね。
短期的にみたら福と思っても、長期的にみたら禍が残るようなことも。
よくできた寓話ですね。
鼓鐵でも
長期的
多角的
本質的
に物事を考えることがあります。
短絡的に判断すると間違えることがありますからね。